新潮社を名誉棄損で訴えた
裁判を起こした理由は、新潮社が発行する写真週刊誌(雑誌)の「フォーカス」のせいで敗れたと考えたからだ。
1986年7月の衆院議員と参院議員の同日選挙
1986年7月、衆院議員と参院議員の同日選挙が行われた。この選挙に、参議院滋賀選挙区から自民党公認で立候補し、落選した政治家がいた。上田茂行氏である。元衆院議員。当時39歳だった。滋賀県大津市に住んでいた。
写真週刊誌(雑誌)
上田・元衆院議員は、選挙で敗れた後、新潮社を裁判で訴えた。裁判を起こした理由は、新潮社が発行する写真週刊誌(雑誌)の「フォーカス」のせいで敗れたと考えたからだ。
選挙期間中にフォーカスに「金権候補」などとの記事を掲載された。上田氏は「事実無根の中傷記事だ。そのせいで落選した」と訴えた。
大津地裁
被告になったのは、フォーカスを発行している新潮社(佐藤亮一社長)。そして、フォーカスの後藤章夫・編集長だった。謝罪広告と慰謝料500万円の支払いを求めた。第1回口頭弁論が1986年12月15日、大津地裁(西池季彦裁判長)で開かれた。
訴えられた記事は、参院選公示の2日後の1986年6月20日付のフォーカスに掲載された。演説中の上田氏の写真と一緒に「マズシイ国のマズシイ政治-金権候補に土下座候補」の見出しだった。
匿名のコメント
この記事の中で、保守系県議などと肩書をつけた匿名の人物の談話が載った。「滋賀県連段階では3人が公認申請していたが、結局、金の力で上田に決まった」というコメントだ。このコメントについて、上田氏は「事実無根だ」と主張した。その結果、著しく名誉を棄損されたと訴えた。候補者としての資質について県民に疑問を抱かせた、としている。
フォーカス側は「根拠に基づいた記事だ」と争う
フォーカス側は「取材をして得た、しかるべき根拠に基づいて記事にした」と反論した。全面的に争う構えを見せた。